陽炎の如く

KAGEROU

KAGEROU

かげろうを読んだから感想文書くね。ネタバレするからネタバレが気になる人は読まない方がいいかも。



あらすじ
人生につまずいた主人公は自殺を決意し、人気のないデパートの廃墟ビルにきていた。人生の幕を下ろすべく、最後のハードル、錆びたフェンスをよじ登るが、現れた男にじゃまされてしまう。自殺を止めにきた管理人かと思い煩わしく思う主人公だったが、男は違った。どうせ死ぬならその肉体を売ってくれというのだ。その言葉に興味がわいた主人公は男にいわれるまま肉体を売ることにし、臓器の移植手術に臨んだ。ところが心臓の手術は成功するものの、薬の分量を間違えられ次の他の部位の手術まで寝ているはずの主人公が目覚めてしまう。半死半生の状態である主人公は心臓の移植先である少女の元に向かう。


この作品は一部の人にしか共感されないだろう。隠れマッチョなんだけどマッチョになりきれない男が体を売り少女を助けたことで心の充足を得る話だからだ。

だから、すごく時代遅れの作品で、それでいて時代を表している作品だった。僕は才能あると思ったな。文章力をのばせば、ポプラ社のいっせんまんは真実味があったと思う。いかんせん、キャラの心情が描かれないのでこちらでこういうものが書きたかったのだろうと汲み取ってやらねばならないのだ。僕は何でキョウヤが泣いたのか未だにわからん。

話は飛ぶが僕がこの作品を評価したいと思ったのかというと、ネットで時々いるヒッシな人たちが、この本を読んでいて脳裏から離れなかったからだ。承認がほしいけれども、承認を得ることをあきらめてる人たちの自棄に似ている。非モテの救済がこの物語には描かれているよ。それがたとえマッチョの自己満足の代物でも、答えを出した水嶋に僕は敬意を表したいと思う。